男性泌尿器科とは

泌尿器とは、尿が作られ、その尿が体外へ排出されるまでに携わる器官を総称した呼び名で、尿を生成する腎臓、その尿を蓄尿機能のある膀胱へと送る尿管、尿を溜められる膀胱、尿を排出する尿道が含まれます。
さらに上記の泌尿器だけでなく、男性にのみ存在する臓器(前立腺、陰茎、精巣、精管 等)につきましても診療の対象となるのが男性泌尿器科です。

排尿に関する異常(頻尿、夜間頻尿、尿が出にくい、残尿感 等)がある、尿検査の結果から血尿、あるいはたんぱく尿の指摘を受けたという場合、生殖器に何らかの症状があって性感染症が疑われるといった場合は、当診療科をご受診ください。
このほか、勃起障害、男性更年期障害などにつきましても遠慮なくご相談ください。

以下の症状に心当たりがある場合は、一度当診療科をご受診ください。

  • 尿検査の結果から血尿やたんぱく尿の指摘を受けた
  • 尿が出にくく、途中で止まってしまう
  • 尿の勢いが弱くなった
  • トイレが近い(頻尿)
  • 残尿感がある
  • 排尿時に痛みを感じる
  • 陰部や尿道にかゆみ、腫れ、痛みがある
  • 性器より膿や分泌物が出ている
  • 性交時に痛みや違和感がある
  • 勃起力が低下している
  • 発熱とともに腹部に痛みがある
  • 足がむくんでいる
  • PSA(前立腺特異抗原)値が高い など

当院では以下のような疾患の診療を行っています。

血尿/尿潜血

尿の中に多くの赤血球が混ざっている状態を血尿といいます。
この場合、腎臓や尿路から何らかの出血があって起きるとされており、排尿時に尿に赤や褐色の色が見られ、肉眼ではっきりわかる血尿のことを肉眼的血尿といいます。
ちなみに尿1,000 mL中に血液が1mL以上含まれていると肉眼的血尿となります。

また尿を肉眼で見ただけでは血尿であるかはわからないものの、顕微鏡での検査によって赤血球が確認(尿沈渣で5個以上)される血尿を顕微鏡的血尿と言いますが、この状態にあることを尿潜血と呼ぶこともあります。

原因

悪性腫瘍、尿路結石、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎 等)、腎臓疾患(慢性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎 等)などの病気によって引き起こされることもあります。
ただ、激しい運動をするなどして疲れが溜まっている、お酒を飲みすぎる、過度なダイエットをする、冷え、偏食などがきっかけとなって血尿がでることもあります。

検査

血尿の原因を調べるための検査としては、尿検査、画像診断(腹部超音波検査、腹部の単純X線撮影 等)、膀胱鏡検査(尿道から内視鏡を挿入し、膀胱や前立腺等の内部を確認)を行います。
さらに医師が必要と判断した場合は、血液検査、CT・MRI等の画像検査なども行われます。

尿たんぱく

健康な方の尿の中にもごく微量のたんぱく質は含まれますが、尿の中にたんぱく質が含まれていることを尿たんぱくといいます。

ただ、このたんぱく質が基準とされる数値以上に尿と一緒に排出されている状態になるとたんぱく尿と診断され、病気など何らかの異常が起きている可能性があります。
具体的には、尿中のタンパク質濃度(mg/dL)が尿試験紙法で、15 ~30mg/dLで擬陽性、30mg/dL以上で陽性となります。

原因

たんぱく尿の原因ですが、激しい運動の影響、ストレス、女性であれば月経の影響、遊走腎など一過性のケースもよく見受けられます(生理的たんぱく尿)。
また原因疾患としては、糸球体疾患、糖尿病性腎症、尿細管間質性疾患など腎臓の病気による腎性たんぱく尿もあれば、腎盂以下の尿路(尿管、膀胱、尿道)で発症した結石あるいは腫瘍や炎症の場合もあります(腎後性たんぱく尿)。
また、腎臓以外の原因で血液中のたんぱく質が増加し、尿中に漏れ出てしまうこともあります(腎前性たんぱく尿)。
その場合の原因疾患としては、多発性骨髄腫、溶血性疾患、横紋筋融解症などが挙げられます。

膀胱炎

泌尿器のひとつで、腎臓で作られ尿管を通ってきた尿を蓄えることができる臓器である膀胱に炎症が起きている状態が膀胱炎です。
よくみられる症状は、頻尿、排尿時の痛み、尿の混濁などです。
そのほかにも、肉眼的血尿、残尿感、尿の臭いが強い等も現れるようになります。

原因

炎症の原因の多くは細菌感染によるもので、尿道から細菌が逆流する形になって膀胱で感染し、炎症を引き起こすようになります。
なお原因菌の大半は大腸菌で、それ以外だとブドウ球菌や緑膿菌、真菌、ウイルスなどがあります。

膀胱炎のタイプは、いくつかに分類されますが、よく見受けられるのが急性単純性膀胱炎です。これは尿路に基礎疾患がないとされる患者さまにみられる膀胱炎で、若い女性に発症者が多いという特徴もあります。
また男性は膀胱炎になりにくいといわれますが、前立腺肥大症等による排尿障害、尿路結石によって尿路が妨げられるなどすれば細菌感染しやすくなって膀胱炎に罹患しやすくなります。なお男性の場合、何らかの原因疾患があって起きる複雑性膀胱炎のケースが多いです。

検査

診断をつけるための検査としては、尿検査が行われます。
尿中の白血球や細菌が多く含まれているのであれば、膀胱炎が疑われます。
また膀胱炎が繰り返される患者さまでは、腹部超音波検査(腹部エコー)や膀胱鏡検査を行い、尿道や膀胱の状態を確認していきます。

治療

発症の原因が細菌感染によるものであれば、ニューキノロン系やセフェム系、ペニシリン系などの経口タイプの抗菌薬が用いられます。

また水分を多く摂取することで、尿と一緒に病原体も排出させやすくなるので、こちらも実践されるようにしてください。

前立腺炎

前立腺に炎症が起きる状態が前立腺炎で、急性前立腺炎と慢性前立腺炎があります。

急性前立腺炎は、主に細菌による感染によって発症しますが、原因菌の大半は大腸菌(ほかには、クレブシエラ、クラミジア 等)で、尿道から細菌が上がっていき、前立腺で感染し、炎症を引き起こすようになります。

主な症状は、発熱、排尿時痛、排尿困難などです。
また前立腺に腫大がみられるほか、圧痛や熱感などもみられるようになります。

一方の慢性前立腺は、細菌感染が原因の細菌性慢性前立腺炎と細菌感染が原因でない非細菌性慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)に分類されます。
細菌性の原因菌については、大腸菌、ブドウ球菌、クレブシエラなどがあります。
また非細菌性は、細菌が原因ではない前立腺炎ですが、現時点で原因は特定されておりません。
主な症状は、会陰部の不快感や排尿時の違和感で、前立腺が明らかに腫れている、炎症が起きているなどを確認するのは難しいです。

診断をつけるにあたっては、直腸診(肛門から指を挿入し、前立腺に触れるなどして、状態を確認する)や尿検査(膿尿や細菌尿の有無を確認)などを行っていきます。

治療

細菌の感染が原因であれば、抗菌薬(ニューキノロン系 等)を使用していきます。
また非細菌性前立腺炎の患者さまも薬物療法となりますが、この場合はα1受容体拮抗薬が用いられます。

腎盂腎炎

腎盂は腎臓の内部にあり、腎臓で作られた尿が一時的に溜まる部位でもあるのですが、この周辺に炎症が起きている状態を腎盂腎炎といいます。

発症の原因の大半は細菌によるもので、この場合、細菌(主に大腸菌)が尿道から膀胱、さらに尿管、腎盂と上行感染することによって発症するようになります(急性単純性腎盂腎炎)。
尿道が短い女性に発症しやすく、若い世代によく見受けられます。

上記以外には、尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)に基礎疾患(腫瘍、結石、前立腺肥大症、先天的な尿路の異常 等)がある場合に起こりやすい複雑性腎盂腎炎もあります。
こちらは高齢者や小児に起きやすいです。

主な症状は、発熱、腰や背中に痛み、吐き気、寒気などで、膀胱炎も併発している場合は、それに関連する症状(頻尿、排尿時痛 等)もみられます。
また、複雑性腎盂腎炎の患者さまは、自覚症状が出ないこともあれば、微熱や背中や腰に軽度な痛みが出ることもあります。

診断をつけるための検査としては、血液検査や尿検査で細菌の有無を調べることで判明するようになります。

治療

主に抗菌薬(ニューキノロン系、セフェム系 等)による薬物療法となります。
上記以外にも、基礎疾患があればその治療を行うほか、水分を積極的に摂取し、細菌を体外へ排出させやすくするといったことも大切です。

尿路結石

尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)において、尿中に含まれる成分(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸 等)がかたまって結石となり、それによって様々な症状がみられている状態を尿路結石といいます。

なお尿路結石は、結石が見つかった部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と診断されます。

腎結石は、腎臓の中の腎盂で発生します。
症状は出にくいとされていますが、鈍痛や血尿等がみられることがあります。

尿管結石は、腎盂で作られた結石が尿管の方へ尿と一緒に流れていくことで発症します。
多くは尿管で結石が嵌頓している状態なので、疝痛発作(わき腹や背中等に激痛)がみられるほか、血尿も現れるようになります。
そのほか、吐き気や残尿感がみられることもあります。

なお、腎結石と尿管結石を合わせて上部尿路結石といいますが、尿路結石の患者さまの9割以上が上部尿路結石の患者さまとなっています。
また(上部尿路結石は)40~50代の男性が発症しやすいという特徴もあります。

膀胱結石は、腎盂や尿管から結石が流れてくることもあれば、膀胱で結石が作られることもあります。
よくみられる症状は、血尿、排尿時の痛み、排尿障害などです。

尿道結石は、膀胱より上から流れてくる結石が尿道で嵌頓することで発症します。
主な症状は、血尿、尿閉も含む排尿障害、尿線途絶、疼痛などです。

診断をつける際は、尿検査(尿潜血の有無等を調べる)や画像検査(腹部超音波検査、腹部CT検査 等で結石の有無等を確認する)などを行っていきます。

治療

痛みの症状があれば、NSAIDsを使用します。
結石の大きさが1cm未満であれば、自然に排出されるようにしますが、その場合は水分を多く摂取するなどして、尿の勢いで結石を出しやすくしていきます。

また結石が1cm以上ある、結石が尿管などに挟まって除去が困難という場合は、治療が必要となります。
その内容としては、体外から結石に向けて襲撃波を照射することで結石を砕く、体外衝撃破砕術(ESWL)、尿道から内視鏡を挿入し、レーザーや空気衝撃波で結石を破砕させる経尿道的腎尿管破砕術(TUL)などが検討さます。

精巣上体炎

精巣のすぐ横にある精巣上体(精巣で作られた精子を貯蔵する)に炎症がみられている状態を精巣上体炎といいます。よくみられる症状は、発熱と陰嚢の腫れや痛みなどです。

原因

尿道から細菌が侵入し、精巣上体まで到達してしまうことで、感染、炎症を引き起こすようになります。
原因菌に関してですが、若い世代では、性感染症の原因菌である淋菌やクラミジアによる炎症がよく見受けられ、中高年世代以上になると大腸菌等の一般的な細菌によって発症することが多くなります。
一般細菌が原因の場合は、前立腺肥大症や尿道の狭窄等による尿の流れの悪化による細菌の増殖によって引き起こされます。

検査

診断をつけるための検査としては、尿検査や血液検査が行なわれます。
前者で膿尿や細菌尿が認められた、後者でCRPや白血球の数値が上昇しているとなれば、精巣上体炎と診断されます。
また超音波検査で、血液の流れの状態や精巣上体の腫れの程度を見ることもあります。

治療

原因菌に合わせた抗菌薬(ニューキノロン系、テトラサイクリン系 等)が用いられます。
また痛みの症状が強い場合は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用することもあります。

前立腺肥大症

前立腺は、膀胱の直下にあり、尿道を取り囲むように存在している臓器です。
この部位は、加齢、あるいは男性ホルモン(テストステロン)の影響などによって肥大化することがあるのですが、これによって尿道が圧迫を受けるなどして、排尿障害が起きている状態にあると、前立腺肥大症と診断されます。

よくみられる症状は、頻尿(夜間頻尿)、尿意切迫感、残尿感、尿の勢いの低下のほか、お腹に圧力を加えないと排尿できないなどです。

検査

前立腺肥大症が疑われる場合、直腸診(前立腺腫大の状態の確認)、血液検査(PSA値を確認し、前立腺がんの可能性を調べる)、腹部超音波検査(前立腺の状態の確認)、尿流動態検査(排尿時の勢い、残尿量 等を測定)などを行い、診断をつけていきます。

治療

前立腺肥大の程度にもよりますが、治療の中心は薬物療法です。
尿道を拡張させる効果のあるα1受容体拮抗薬、平滑筋を弛緩させる効果があるとされるPDE5阻害薬のほか、5α還元酵素阻害薬(デュタステリド)などが用いられます。

また重症化している場合は、肥大している前立腺を切除する手術療法が行われます。
外科的治療については内視鏡手術が中心で、尿道から内視鏡を挿入し、電気メスによって前立腺を切除する経尿道的前立腺切除術(TURP)やホルミウムレーザーによって前立腺をくり抜いていく経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)などが選択されます。

過活動膀胱(OAB)

膀胱に尿が溜まっている状態(量の多い少ないに関係なく)の際に何の前触れもなく急な尿意に見舞われ(尿意切迫感)、さらに頻尿や切迫性尿失禁などの症状が何度も現れているのが過活動膀胱です。
ちなみに40歳以上の日本人の約12%の方に過活動膀胱の症状がみられるといわれています。

原因

発症の主な原因は、加齢などが挙げられるほか、膀胱の尿量がどれだけ溜まっているかを感知するセンサーが過敏(膀胱の知覚亢進)になっている、脳内の排尿調節機能や自律神経の乱れなどが挙げられます

なお男性では50歳以上の方になりますが、前立腺肥大症と併発しやすくなります。
また女性は閉経を迎えるとエストロゲン(女性ホルモンの一種)が著しく減少することで蓄尿機能に影響がみられたり、骨盤臓器脱によって膀胱に機能的変化が起きたりするなどして過活動膀胱の症状が出るようになることもあります。

ちなみに過活動膀胱で見受けられる症状というのは、膀胱炎や膀胱がん、膀胱結石でも現れるものなので、しっかり鑑別する必要があります。

検査

診断については、過活動膀胱症状質問票(OABSS)による問診をはじめ、腹部超音波検査で尿路の異常の有無や膀胱内の残尿量の測定をするほか、尿検査や血液検査で、ほかの病気の可能性も調べていきます。

治療

過活動膀胱の患者さまには、行動療法と薬物療法を併せて行います。

行動療法では、膀胱訓練を行います。
これは、尿意を感じるまでは排尿を我慢するというもので、その間隔を徐々に長くさせていくことで膀胱容量を増やしていくというトレーニング法です。
また肥満が過活動膀胱の引き金になることもあるので、その場合は減量に努めることも必要です。

また薬物療法では、抗コリン薬(膀胱の過剰な収縮を抑制し、蓄尿機能を改善させる効果がある)、β3作動薬(膀胱容量を拡張させる働きをする)、ボツリヌス毒素を膀胱壁に注射で注入(膀胱の筋肉の緊張を和らげ、膀胱内に尿を溜めやすくする)などを行っていきます。

神経因性膀胱

排尿に関係するとされる、中枢(脳、脊髄)や末梢神経が何らかの障害を受け、それによって膀胱で尿を溜める機能や排尿する機能に悪影響が及んでいる状態(排尿障害)にあるのが神経因性膀胱です。

神経因性膀胱は、障害を受けている部位によって症状の現れ方が異なります。
大脳~橋(脳幹の一部)の間の神経で障害が起きると、尿が溜まっていくなかで、本人の意思とは関係なく、排尿筋が収縮するなどして、それほど溜まっていなくても尿意を感じやすくなるなどします。
この場合、過活動膀胱や切迫性尿失禁などの症状がみられます。
発症の原因としては、脳血管障害(脳梗塞、脳出血 等)、脳腫瘍、パーキンソン病などが挙げられます。

また橋(脳幹の一部)から仙髄より上の脊髄で障害が起きると、大脳~橋に障害が起きているケースと同様に活動膀胱や切迫性尿失禁がみられることもあるほか、原因疾患によっては、尿意を感じないまま尿筋が収縮し、失禁してしまうということもあります(反射性尿失禁)。
原因としては、脊髄不全損傷、多発性硬化症、二分脊椎、回復期にある状態の脊髄完全損傷などがあります。

上記のほか、仙髄より下から末梢神経にかけて障害が起きるタイプもあります。
この場合、尿閉、低活動膀胱、溢流性尿失禁などの症状がみられます。
具体的には、排尿したいという意思があっても出すことができないため、尿がどんどんたまっていくというもので、求心路に障害があれば尿意を感じないこともあります。
原因疾患としては、糖尿病神経障害、骨盤内の臓器の手術をした後、脊髄ショック状態の脊髄完全状態、二分脊椎などによって引き起こされます。

患者さまの訴えや症状から神経因性膀胱が疑われる場合、尿検査(尿中の白血球の有無を調べる)、腹部超音波検査(膀胱の状態などを調べる)、尿流動体検査(蓄尿機能、残尿量の測定、尿の勢いや出方を調べる 等)などが行われます。

治療

治療が必要となれば、薬物療法や手術療法などが選択されます。
薬物療法では、患者さまの病態や症状によって、用いられるものが異なりますが、抗コリン薬、α1受容体拮抗薬、コリン作動薬、β3受容体作動薬などが使われます。

また膀胱の機能障害に対して外科的治療(手術療法)が選択される場合は、腸の一部を利用することによって膀胱を拡大していく膀胱拡大術、人工尿道括約筋埋込み術(主に前立腺がんの手術を行った患者さまで重度の尿漏れが長期間続いている場合に検討)などが行われます。

上記以外にも、行動療法として、膀胱訓練(排尿をしたくなってもある程度我慢して、尿が膀胱に溜まりやすくする環境を整える)、尿意がなくても決まった時間に定期的に排尿する(定時排尿)などしていくほか、間欠導尿(決まった時間に尿道から膀胱に向けてカテーテルを挿入し、導尿していく)や尿道留置カテーテル(ご自身で排尿が困難な場合にカテーテルを留置し、排尿しやすくする)を行うなどしていきます。

頻尿

排尿回数が必要以上に多い状態を頻尿といいます。
なお排尿回数というのは、年齢や水分を摂取している量などによっても異なりますが、定義としては、起きている時間帯で1日8回以上の場合としています。
ただ8回以下であったとしても、排尿回数が多いと感じている場合は、頻尿となることもあります。

原因

頻尿の原因はひとつとは限りません。
何らかの病気や外傷によって、物理的に膀胱の容量が減少してしたり、膀胱の伸展の低下がみられたりする器質的な膀胱容量の減少(放射線治療を行った後、腫瘍や妊娠による膀胱への圧迫 等)もあれば、尿排泄障害(抗コリン薬の使用、前立腺肥大症や尿路結石等の下部尿路閉塞疾患、神経因性膀胱 等)による残尿によって、尿を膀胱で蓄えることができないことで頻尿になる機能的膀胱容量の減少ということもあります。

そのほかには、過活動膀胱、膀胱粘膜が何らかの疾患(膀胱結石、膀胱炎 等)などによる刺激を受け、何度も尿意を催すようになることもあれば、多尿(尿量が増加することによる頻尿、原因は主にストレスによる心因性多飲症、尿崩症、糖尿病、利尿剤の使用 等)によって引き起こされることもあります。
ちなみに多尿による頻尿というのは、1回の尿量は多いのが特徴で、多尿以外ではそれほど多くはありません。

上記のように頻尿の症状は、様々な病気の可能性もあります。原因を調べるにあたっては、排尿日誌をつけるようにしてください。
この日誌では、トイレに行った時刻、1回あたりの尿量がどれくらいか、水分をとった時間や量なども記入するなどして、頻尿の原因が何かを特定していきます。

その結果、何らかの原因疾患が判明すれば、それに対する治療を行っていきます。

尿漏れ

尿漏れは尿失禁と同じ意味をもつものですが、これらは自らの意思ではないのにも関わらず尿が漏出してしまっている状態をいいます。

尿漏れのタイプ

尿失禁(尿漏れ)は、主に4つのタイプに分類されます。

腹圧性尿失禁

これは、全尿失禁患者さまの約半数にあたる方々が該当するとされ、主にくしゃみや咳をする、あるいは重い荷物を持つなど腹圧が上昇する際、うまく尿道が閉塞されずに尿が漏出してしまうケースをいいます。
同タイプの患者さまは、女性が多く、妊娠や出産が主な原因とされていますが、肥満や加齢によって発症することもあります。

切迫性尿失禁

この場合は、膀胱に尿が溜まっていても、排尿を抑制する機能がうまく働なくなるので、何の前触れもなく、強い尿意に見舞われることになります。
そのため、速やかにトイレに行こうとしても間に合わずに失禁してしまうということもあります。
切迫性尿失禁を引き起こしてしまう原因としては、過活動膀胱、神経因性膀胱、細菌性の膀胱炎などが挙げられます。

溢流性尿失禁

このタイプは、何らかの排尿障害があって、尿が出にくくなっている状態です。
膀胱内で溜まっている尿量が大量になると、膀胱の内圧が上昇していきますが、これが尿道を閉鎖する圧を上回ってしまうと尿が徐々に漏れ出すようになります。
原因疾患としては、神経因性膀胱、前立腺肥大症のほか、低活動膀胱(尿の勢いが低下したり、排尿が困難になったりする。加齢や糖尿病 等が原因)、外傷や手術後、炎症等による強度な尿道狭窄などによって起きます。

反射性尿失禁

神経因性膀胱(主に橋から仙髄より上の部分での脊髄障害)によって発症するタイプです。
尿意は感じなくとも、排尿筋が自らの意思とは関係なく収縮してしまうことで、尿が漏出していきます。

なお腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁は合併しやすいので、2つの症状がみられる場合は、混合性尿失禁と診断されます。

このほか、排尿機能は正常であっても、認知機能が低下していたり、トイレへの移動や排尿動作が困難になったりすることで、尿が漏出することもあります(機能性尿失禁)。

腹圧性尿失禁が疑われる場合、排尿日誌をつけるほか、尿検査、腹部超音波検査、パッドテストを行います。
パッドテストは、500mlの水を飲み、パッドを外陰部に装着して運動を行い、尿漏れの状態をチェックするというもので、パッドの重量が増加すれば、腹圧性尿失禁が疑われます。

治療

腹圧性尿失禁の患者さまについては、軽度である場合は保存療法として、骨盤を鍛える骨盤底筋訓練を行いますが、効果を実感するまでには最低でも3ヵ月以上はかかるとされています。
また腹圧性尿失禁が重症もしくは、骨盤底筋訓練では改善しないと医師が判断した場合は、手術療法として尿道スリング手術(TVT 等)が選択されます。

残尿感

排尿後にみられる異常のひとつで、膀胱の中の尿は出尽くした状態であるにも関わらず、まだ尿が残っていると感じてしまう状態を残尿感といいます。
このような感覚というのは、男性でも女性でも起こりうるもので、中高年世代にみられやすいといわれています。
尿を出したはずなのにすっきりしないといった残尿感のほかにも、トイレに何度も行きたくなる、排尿後に不快感があるなどの症状があれば、一度当院をご受診ください。

原因

原因としては、男性では前立腺肥大症、女性であれば細菌性膀胱炎の発症によって残尿感が見受けられることが多いですが、神経因性膀胱や尿道狭窄のほか、ストレスによる自律神経の乱れなどによって引き起こされることもあります。

検査

診断をつけるにあたって行う検査は、尿検査(細菌の有無等を調べる)、腹部超音波検査(腹部エコー:膀胱の尿の残量等を確認する)、尿流量測定(尿の勢いや排尿量等を調べる)などを行い原因が何かを特定していきます。

治療

残尿感の症状が起きる原因によって治療内容が異なります。
膀胱炎など細菌感染による感染症であれば、抗菌薬が用いられます。
前立腺肥大症であれば、薬物療法(α1受容体拮抗薬、PDE5阻害薬 等)や手術療法が選択されます。
また神経因性膀胱も同様に薬物療法や手術療法が行われるほか、膀胱訓練などの行動療法も行われます。

男性更年期障害

LOH症候群とも呼ばれるもので、主に加齢やストレスによって起きるとされる男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下が引き金となって様々な症状がみられている状態のことを
男性更年期障害といいます。

40~60代の男性にみられやすいという特徴があります。
よくみられる症状としては、性欲低下、ED(勃起障害)、のぼせ、ほてり、発汗、動悸、疲れやすい(疲労感)などがあります。
また精神的な症状として、イライラしやすい、気分が落ち込んでいる、記憶力や集中力の低下、不眠なども現れるようになります。
このように女性の更年期障害のような症状がみられやすいということもあります。

診断をつけるにあたっては、問診を行ったり、血液検査で男性ホルモンの数値を測定したりするなどしていきます。

治療

テストステロンの数値が低いと判定された場合は、体内に同ホルモンを投与していく補充療法が行われます。
なお人によっては、ホルモン補充療法を行えないこともあります(前立腺がんの患者さま、前立腺肥大症や肝臓機能障害が重度の方 等)ので、それらを十分に把握したうえで治療の開始となります。
また漢方薬の使用によって、体調を整えることもあります。

上記以外にも、肥満の方は減量に努める、日頃の生活習慣(食べ過ぎない、栄養バランスのとれた食事、運動不足解消のための有酸素運動 等)を改善していくことも重要です。